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籠鳥 ~溺愛~
第4章
「許さない」
初めて聞く、鏡哉の厳しい声。
びくり、美冬の小さな体が震える。
ドサリ。
気が付くと美冬はソファーの上に押し倒されていた。
「き、鏡哉さっ……んっ!」
襟ぐりの空いたワンピースから覗いた鎖骨の上に吸い付かれる。
「理由を言わないと、許さない」
美冬はとっさに逃れようと身を捩ったが、両手を鏡哉に抑えられていて、びくともしない。
「ほら、早く言わないと――」
ペロリ。
鎖骨に沿って舌を這わされる。
「やっ……」
「知らないよ――?」
暖かい舌がぬるりと鎖骨の上を辿る。
気持ちいいのか気持ち悪いのかよくわからない感覚に、全身がぶるりと震える。
「だ、ダメ……!」
「早く」
(も、もう、ダメ!!)
「あの人に、鏡哉さんに触れてほしくなかったんですっ!!」
限界を感じ、美冬は大声で叫んでした。
「あの人?」
「い、伊集院さんに、鏡哉さんを、さ、触ってほしくなかった――」
何の涙なのか、美冬の涙腺が壊れたように、涙が大きな瞳から零れ落ちる。
「ふ、ふぅ……やだ、やだったんです」
鏡哉が両手を解放したので、美冬は顔を覆って涙を堪えた。
「ふ、可愛い、美冬ちゃん」
そのいつものセリフに、美冬は恐る恐る手を退かせて鏡哉を見上げる。
そこにはいつもの見知った鏡哉の意地悪な笑みがあった。
(だ、騙された――!?)
驚いて瞳を見開いた美冬の目じりに浮かんだ涙を、鏡哉が吸い取る。
「よかった、美冬ちゃんがやきもち焼いてくれて」
「や、やきもち?」
「私を独り占めしたかったんだろう?」
(え、ええ〜〜!?)
そんな大それたことを思った覚えはないが、目の前の鏡哉はうんうんと頷く。
「私も美冬ちゃんを誰にも触れさせたくない。同じことを美冬ちゃんも私に思ってくれてうれしいんだ」
(そ、そうなのかな……)
鏡哉は体を起こすと、美冬の上半身を抱き上げた。