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陽向の恋
第3章 三
思えば、初めから変だった。私が高校三年生の時、こっそり陽向に胸を触られた夜から。やっぱり陽向は私の胸目当てで、告白してきたのかもしれない……。
翌日、会社で昼休憩の時間になると、私はデスクでお弁当を食べながら、高校三年生の頃に陽向から胸を触られた夜のことを思い出していた。
あの夜の後、陽向は何もなかった様に私へ接してきたが、明らかにボディタッチが増え、胸を触られることもたまにあった。思春期だし異性の体に興味がある年齢。だけどまさか陽向が自分のことを異性として意識しているとは思わず、ずっと悪戯だと思っていた。
陽向が高校を卒業して、告白してくるまでは。
『苗ちゃん、俺と付き合ってくれない?ずっと好きだったんだ……』
卒業式の後、私のアパートを訪れた陽向は、開口一番恥ずかしそうにそう告げた。リビングのソファに並んで座り、私が卒業おめでとうと言う前よりも早く。
『う、うん……私も陽向が好きだったから、嬉しい』
子供の頃から身近にいて、弟のような存在だった陽向。でもいつの間にか私も、陽向に恋心を抱くようになっていた。だからすぐに答えたのだが……。
『えっ?!やったー!』
陽向が嬉しそうに私の胸へ抱き付いてきて、戸惑う。
『ちょっと陽向!む、胸に顔が……』
『もうこれは俺のものってことだよね。もう我慢しなくて良いよね?俺の好きにして良いよね?』
『……』
あの時の陽向の宝物を見つけた時の様な顔が、まだ忘れられない。
やっぱりあれは、私の胸が好きってこと?
私は複雑なまま、弁当箱を持ちながら箸を止める。しかし、
「苗ちゃん、ちょっと良い……?」
突然後ろから陽向に話し掛けられると、箸を落としそうになった。