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陽向の恋
第3章 三

「陽向?!どうしたの?会社ではあんまり話し掛けないでって言ったでしょ?」

 慌てながらこそこそと小さな声で返事をする。

 陽向と付き合っていることは、会社の誰にも話していない。だから怪しまれると困るし、会社ではあまり接したくはない……。

 そんな私へ陽向はしゅんと落ち込んだ様に続けながら両肩をガシッと掴むと、ゆさゆさと私の体を揺さぶった。

「昨日のことが気になって……話があるんだ!会議室に来てくれない?」

「分かったから、揺らさないで……」

 昨日のことで謝るつもりだろうか。私も陽向に聞きたいことがある……。

「ごめん。……よし!」

 私の返事を聞いて、陽向は自分の両頬を気合いを込めるように両手でパシッと叩く。そしてそのまま会議室に向かって歩き出した。その光景を無言で見ながら私も弁当箱と箸をデスクに置いて、そわそわしながら後を追った。
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