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陽向の恋
第6章 六
こんな陽向のことを好きだと思うようになったのは、高校を卒業してOLになったばかりの頃。新入社員の歓迎会があった翌日の日曜、陽向が偶然私のアパートを訪ねてきた日。羽目を外してしまい飲み過ぎた私を、陽向が看病してくれた。
『何でこんなに飲んでるんだよ!あんまり飲むなって昨日LINEしただろ!』
『だって、皆が飲めって言うから…』
『酔わせて何かしようとする男もいるんだから!もっと楽しく飲まないと!具合悪くなるまで飲んじゃダメだよ!』
『ごめん……』
どっちが年上なのか分からない。何とかベッドから起き上がり、陽向から水と薬を飲ませて貰いながら、私は吐き気、目眩と戦う。この時陽向は高校一年生。中学生の頃よりは少し大人びて、頼もしくも見えた。
『誰かに何もされてないよね?ホテル行ってないよね?部屋に誰も泊めてないよね?』
『うん……』
『セーフ……』
念入りに聞いてきて、陽向は私の返事にほっと安堵する。それから私の手をそっと握り、真剣に言った。
『今後、絶対飲み過ぎないように!後、苗ちゃん……誰が好きなのか胸に手を当てて聞いてみて。好きな男以外とは、ヤっちゃダメだよ!』
『……』
胸に手を……右手は陽向から握られているから当てられない。けど、左手は……。そのまま左手を胸に当ててみる。と、どくんどくんと高鳴っている鼓動に気付いた。右手から伝わってくる陽向の体温に、幸せを感じていることにも。
『……』
『分かったでしょ?苗ちゃんは多分身近にいる超絶可愛い男が好きだと思うよ!飲み過ぎた朝に、看病してくれるようなプリティボーイがね!』
『ごほっ!』
陽向から言われて、思わず咳き込む。何これ、予言?陽向の言葉に不思議に思うも――この時から私は、陽向を意識するようになっていた。