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陽向の恋
第6章 六

「苗ちゃんのバカ」

「う、るさい……あっ……」

「おじ専」

「違っ……んうっ……」

 文句を言われながらニットに顔を入られた格好で、乳首を繰り返し吸い上げられる。廊下からは、社員達の楽しそうな話し声。……ここでこんなことをしているとこ、もし気付かれでもしたらまずい。

「課長と何処行ったの?」

「ご飯食べて……あ……買い物、して……」

「楽しかった?」

「楽しく、ない……ん、あっ……」

「ウソつき」

 ちゅ……ちゅ……と赤ん坊の様に左胸の乳首を強く吸われながら、陽向の質問に答える。そんな私に突然冷たく言い放ち、陽向は乳首を甘噛みする。同時に右胸の乳首を摘まんで、くにくにと擦った。

「あっ……あ……ん……」

 快感に襲われて、私は目を閉じる。

「花菜さんもいたから楽しかったでしょ!本当は!」

「ごめ……んっ……楽しかった……あっ……」

「よくもそんなぬけぬけと!他の男と旅行して楽しかったなんて言えるね!」

「……んっ……」

 陽向は言い直す私の胸を大きく両手で揉み回したり、乳首を舌で捏ねながら怒った。そうされて私は喘ぎながらも、心の中で思っていた。

「……」

 どっちだ――

「酷い!酷いよ!苗ちゃん!」

 楽しかったと言っても、楽しくなかったと言っても怒られる。どうしたらこの陽向の怒りは収まるんだろう……。



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