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第1章 好きな人


私のことを助けた男の子は、私に何も声をかけなかった
大丈夫ですか?の一言も
ただ黙って私の前に立ってくれて、まるで私の涙を隠してくれているかのように感じた

その人は、終点までずっと一緒で、降りる時に初めてちゃんと顔を見た

「あの⋯っ、ありがとうございます!」

凄く安心した

「俺が勝手にしただけのことですから」

ほくそ笑む彼に私は、恋に落ちていた

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