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スグリ姫の試練(くすくす姫後日談・その3)
第5章 五週目
(確かに…確かに、未だにこんなに話題になるってことは、宣伝にはなってたみたいだし、すごーく、売れてたみたい…だけどっ)

「でもね、王子さまは一喝なさった後、お師匠様に舞台から退場させられてしまったの」
「あら、残念」
「あの王子さまのお師匠様も、渋くて素敵だったわよねえ」
「お二人とも素敵でしたわよね。退場した後の品物の販売は、瞬く間に売り切れでしたもの」
「まあ…素敵」
お姉様方のうっとりした回想と、レンブ妃の合いの手。
それを聞いて姫は、恐るべし、先代当主の女心の掌握術…と思いました。
もしかしたら果物王子の退場も、受けを狙った芝居だったのでは…と、思わせるほどの逸話です。

「あの素晴らしい技術を拝見するだけでも、楽しかったわ。ああいうの、もうなさらないのかしらねえ」
「代替わりされて、方針も変わられたのかも知れないわねえ」
お姉様方は揃って、あーあ、と溜息を吐かれました。

(それ…現当主様は……きっと、やらないだろうなあ…)
スグリ姫は反射的にそう思いましたが、思いながらも心の中に、ちょっとすごくものすごくそれを見てみたい気持ちが、むくむく湧いてきました。

(…きっと、やらないだろうけど…ちょっと、お願いしてみたい…な…っ!?)
そう考えかけて、スグリ姫は、はっ!と気がつきました。
もしも果物王子が復活するとしたら、レンブ妃のお姉さま方のような往年のファンの皆様が、詰め掛けて来るかもしれない訳です。
正装のサクナにきゃあきゃあ言う十数人のご婦人方にさえやきもきした自分が、数十人かそれ以上のファンの皆様に果物王子がきゃあきゃあ言われる事態に、平気で居られるでしょうか。
その想像と体調のせいで、スグリ姫の気持ちは急速にどんより方面に落ち込みました。

(うっ…王子っ……王子のばかっ…人の気も知らないでっ……果物王子とか言われて、ちやほやされちゃってっっ…!!!)

今責められても、それはもう、十年も前のことなのですが。

その晩、姫は婚約者に見立てた枕に八つ当たりして中身の羽を飛び出させてしまい、バンシルに怒られる羽目に陥りました。
そしてますます心の中の婚約者に八つ当たりをしながら、痛いお腹をかばいつつ、鼻をぐずぐず言わせつつ、眠りに就いたのでありました。
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