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スグリ姫の試練(くすくす姫後日談・その3)
第6章 六週目
「…ということは、両方に逆向きの切り欠きを作るか、両方に穴を開けて何かを埋めるか、どっちかってことかしら?」
「よくやるのは、その二つですね。でも、斜めのときは、穴を開けるやつの応用の方が簡単です。これで練習してみて下さい」
「うん!」
姫は渡された材料を使って、教わった通りに、集中して何回か練習しました。
「…うーん…これなら、なんとかなりそう?」
「姫様、休憩しませんか」
姫が作業を中断して一息ついていると、ベラがお茶を持って来ました。
ベラの息子である次兄は、テーブルの上から木屑を払って、母の持っているお盆をそこに置けるように片付けました。
「進み具合はどうですか?」
「難しいけど、なんとか…お兄さんの教え方がお上手なのね」
「いえ、姫様の勘がいいんですよ」
三人はベラの持ってきてくれたお茶とおやつをつまみながら、姫の練習の成果を眺めました。
「うん、なかなか上手ですよ。初めてとは思えませんね」
「ありがとう、ベラ。まだ本番のは、これからなんだけど」
「本番は材料の長さを合わせて下さいね。角が合っても長さが合わないと、歪んじまいますから」
「そうね、それも気を付け……痛っ!」
次兄に言われた注意点を頭の中に書き込んでいた姫が、急に顔をしかめて、肩に触れました。
「あらやだ!虫ですか?」
「大丈夫よ、ちょっとチクッとしただけだし」
なんともないわ、と言う姫を見て、ベラは眉を寄せました。
「今なんともなくても、あとでどうかは分かりませんよ!…ちょっと、失礼」
ベラは一言断ると、スグリ姫の服を緩めて、虫に刺された肩のあたりを検分しました。
「あらあら!これ、ブヨですね。痕になったら大事だから、手当てしとかないと」
ベラはそう言うと、息子に家から虫刺されに効く軟膏をとって来てくれるように頼みました。
「腫れると厄介なんで、吸っときますね。」
失礼しますよ、と言うとベラは姫の肩を肌蹴て、虫刺されに口をつけて毒を吸出し、ぺっと吐くのを繰り返しました。
「…ごめんなさい。ありがとう、ベラ」
「こちらこそ、申し訳ないことを…外でやらなきゃ良かったかねぇ。」
ベラは口を水でゆすぎながら、スグリ姫に謝りました。
「よくやるのは、その二つですね。でも、斜めのときは、穴を開けるやつの応用の方が簡単です。これで練習してみて下さい」
「うん!」
姫は渡された材料を使って、教わった通りに、集中して何回か練習しました。
「…うーん…これなら、なんとかなりそう?」
「姫様、休憩しませんか」
姫が作業を中断して一息ついていると、ベラがお茶を持って来ました。
ベラの息子である次兄は、テーブルの上から木屑を払って、母の持っているお盆をそこに置けるように片付けました。
「進み具合はどうですか?」
「難しいけど、なんとか…お兄さんの教え方がお上手なのね」
「いえ、姫様の勘がいいんですよ」
三人はベラの持ってきてくれたお茶とおやつをつまみながら、姫の練習の成果を眺めました。
「うん、なかなか上手ですよ。初めてとは思えませんね」
「ありがとう、ベラ。まだ本番のは、これからなんだけど」
「本番は材料の長さを合わせて下さいね。角が合っても長さが合わないと、歪んじまいますから」
「そうね、それも気を付け……痛っ!」
次兄に言われた注意点を頭の中に書き込んでいた姫が、急に顔をしかめて、肩に触れました。
「あらやだ!虫ですか?」
「大丈夫よ、ちょっとチクッとしただけだし」
なんともないわ、と言う姫を見て、ベラは眉を寄せました。
「今なんともなくても、あとでどうかは分かりませんよ!…ちょっと、失礼」
ベラは一言断ると、スグリ姫の服を緩めて、虫に刺された肩のあたりを検分しました。
「あらあら!これ、ブヨですね。痕になったら大事だから、手当てしとかないと」
ベラはそう言うと、息子に家から虫刺されに効く軟膏をとって来てくれるように頼みました。
「腫れると厄介なんで、吸っときますね。」
失礼しますよ、と言うとベラは姫の肩を肌蹴て、虫刺されに口をつけて毒を吸出し、ぺっと吐くのを繰り返しました。
「…ごめんなさい。ありがとう、ベラ」
「こちらこそ、申し訳ないことを…外でやらなきゃ良かったかねぇ。」
ベラは口を水でゆすぎながら、スグリ姫に謝りました。