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君に恋する物語
第4章 好きな所
ー伊織と直哉のある日ー

伊織がラインしても既読スルーなもんで…
気になる俺としては伊織の部屋に訪ねてきた訳で…

ノックしても返事はない
居るのはわかってる

俺は最近あった自分の行動を思い返してみる

昨日、一緒に帰った時か…?
家に誰も居ないとか言うから男としては誘われてるのかもと期待して
(付き合ってんだからそろそろ…次への階段を登る時が今か?今なのか?)

「そ、そういえば…そう!伊織の部屋に忘れ物してたの忘れてたわ!」

「忘れ物?」

「おう!」

「何?」

「えっと…あ〜…あれだな…あれだよ…」

「だから、何?」

「…あれだよ…」

(おかしいな?階段が遠く感じるな…でも、階段は登る為のものでそれが高ければ高い程!遠ければ遠い程!登らずにはいられない!登ってこその男!登らせてくれ!)

「…直哉?」

「…その、部屋に行けば…思い出せる…と、思う…」

「…」

(…そんな目で俺を見るなよ…泣きたくなるだろ…
父さん、母さん…子どもをもつ人…童貞じゃない人…先生…
どうやって大人の階段を登るのですか?保健体育では工程は書いてあっても過程は書いてませんでした。結果も大事だとは思うのですが結果に繋がらなければ意味がないとは思います。)

「当時の(保健体育の)先生に聞けば良かった…でも、先生(男)もきっと登れなかったのか…登山の登り方はロープウェイもあれば徒歩もあるしな…」

「直哉?何?勉強の話?登山の話?先生?」

「あぁ…あの時の先生は思春期の…当時の俺から見てもロープウェイの先生(素人童貞。ロープ…プロで登山をしたと思う男だった。ロープ、いや…ソープで登頂を目指したのだ。きっと。だから高いお金を払いロープウェイを使わざるにはいれなかったのだ。自分の力では到底登れなかったのだ。でも…でも…俺は…俺は!自分の力で登りたい!)」

考え込んで黙った俺に伊織の天使な声

「直哉?直哉は登山に興味があるの?」

「…ある」

伊織…そんな無垢な眼で俺を見るな
俺がサトラレなら爆発してしまいそうだ
こんな思春期な俺の邪な考えが余計に汚れて見えてしまう
許してくれ
俺だって…俺だって…
エベレストな伊織に挑んでみたい!
俺のエベレスト!
俺にとっては世界最高峰だ!

俺…今…
めっちゃアホみたい。
けど、けどさ?
思春期の男なんて…こんなもんだろ〜
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