この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
アムネシアは蜜愛に花開く
第2章 Ⅰ 突然の再会は婚約者連れで
 

 怜二さんは真剣な顔だった。
 だからわたしは、どういう顔をしていいのかわからず瞳をそらすと、怜二さんは苦笑した。

「すまない。きみのペースに合わせると、約束したのに……」

 実は彼から結婚話を打診されるのは初めてではない。
 婚約指輪も貰ってはいるのだ、結婚してもいいと思える日が来たらしてくれと。

 嬉しいか嬉しくないかと聞かれれば嬉しいけれど、実際わたしは、今がこうして楽しくて幸せを感じているのであって、未来がどうのというのは考えられていなかった。

 考えられないのだ、わたしが結婚して家族を作るのは。

「誤解しないで」

 わたしは彼に抱き付く。
 彼はわたしを胸の中に引き寄せると、背中に手を回しさらにぎゅっと抱きしめて、甘く囁く。

「わかってる。きみは仕事が楽しいんだろう? わかっているよ。これでも俺はきみの上司で、きみをずっと見てきたのだから」

 仕事は楽しいけれど、それが原因ではないのだ。
 だけどわたしは口を噤んで、心の中で謝る。

「あんまり俺を焦らすなよ。焦らされ過ぎると、拗ねちゃうからな」

 笑うわたしの唇は怜二さんに塞がれ、ねっとりとした彼の舌がわたしの唇を割って口腔内を凌駕すると、ぞくぞくとした甘い痺れが背中に走った。
 甘い声を漏らしながら舌を絡めて唇を離すと、彼もわたしも情欲の炎を瞳の奥に宿している。

「また、抱いていい?」

 怜二さんが笑いを消したオスの顔になり、布団を剥いでわたしに覆い被さる。
 それに応えたいのに、反応のない身体を恨めしく思いながらも、無粋な言葉を告げるのだ。

「ごめん、怜二さん。トイレ行かせて……」

 そしてわたしは、素直な自分になれずに、彼に抱かれる。
 偽りの蜜を纏いながら。
 
/207ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ