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囚われる…
第2章 幻の頭



「嘘が下手だな…、お前。」


男はニヤニヤとする。

かなりの男前だとは思う。

俳優やモデルが出来そうな端正な顔立ち。

年の頃は30代半ばか?

俺は28にもなるがコンビニでビールを買うと未だに学生と疑われる童顔だ。


「嘘?別に嘘は言ってませんよ。仕事があるのでそろそろ帰って貰っていいですか?」


別に男は俺が借りた店に入っている訳じゃない。

ただ、道路上で開いた扉の前に立っているから扉を閉める事が出来ない。

だから警察を呼ぶという脅しも通用はしない。

ここは穏便に話をして早々に帰って貰うしかないという状況だ。


「仕事とは頭探しだろ?岡野 匠。」


心臓が抉られたように感じた。


「俺を知っているんですか?」


何者だ?

首筋がチリチリとした。

自分が危険な場所へと踏み込んだ時に感じる警戒心で身体中の毛穴が開いたような感覚がする。

落ち着け…、ここは日本…、戦場じゃない…。


「入っていいか?」


男がそう言うから


「どうぞ…。」


と答えてしまう。

頭を知っている男か?

それだけで興奮をする。

男は店の中に入って来た。

電気は開栓をしていないから薄暗い店…。

日が暮れれば完全な暗闇になる。


「何故、俺の名前を?」


まずはその確認を男にする。


「山内会長に名刺を残して行っただろ?あそこの防犯カメラにも撮影をされているし、名刺には指紋も残している以上、すぐに調べられる。」


男はつまらなそうに淡々と答える。


「貴方は頭を知っているのですか?」

「さぁな…、それを調べるのがお前の仕事だろ?」


当たり前の事実を言われた。


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