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囚われる…
第3章 楼蘭
「こっちだ。」
呆気に取られている俺の手を引っ張るようにして店の奥へと男が向かう。
まだ他の客の姿はない。
店の奥には立派な螺旋階段があり、その階段の上は鏡のようなガラスに覆われた部屋がある。
ちょっとした個室…。
2階へと上がり、その部屋の中へと入るとまず驚いたのは鏡だと思ったのはフロアに面した壁一面がマジックミラーだという事だ。
つまりVIP席か?
この部屋もソファーで囲まれちゃいるがソファーは革張りで下のフロアよりも高級感が更に高い。
とりあえずマジックミラーの確認をしてみる。
下のフロアの全てが見渡せる。
「安心をしろ。防音防弾のミラーだ。」
男がクスクスと笑いやがる。
ドレス姿の女が1人だけやって来て男に酒を作っている。
バーボンのストレート、ツーフィンガー…。
「お前は何を呑む?」
「仕事中だから飲まないよ。」
「守秘義務が生きている以上、仕事にはならないだろ?」
「2度と来れない場所で酔っ払いたくないんだよ。」
「お前次第じゃ、また連れて来てやるよ。」
男はやはりニヤニヤとして笑う。
俺の為に烏龍茶が出された。
だが知らない場所での飲み物は迂闊には口にしない方が賢明だ。
下手をすれば眠らされた挙げ句に翌朝にはゴミを抱いて目が覚める。
そして、この店を見たという事実は夢だったんだと揉み消すように終わらされる。
ドレスの女が出て行った。
今は怪しげな男と2人っきり…。
「こっちに来いよ。この店の秘密を知るにはどうせ後2時間はかかるぞ。」
そう言いながら男がソファーを軽く叩く。
今のところ男の言葉に嘘はない。