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囚われる…
第4章 馨…
「なん…なんだ…よ…。」
意味がわからない。
俺が狂っているのか?
馨が狂っているのか?
「匠が寝ちまったからな。仕方がなく女を呼んだ。結果は同じだから意味がなかったがな…。」
切ない顔で馨が俺を抱きしめる。
「だから、やめろよ!」
馨から離れようともがいてしまう。
「何故だ?」
「何故って…。」
「俺のものだ。」
「違う!俺はホモじゃねぇよ!」
「俺も違うぞ…。」
女も抱けるからバイってか?
「汚れたな…。それに寒いんだろ?」
馨が俺をまた軽々と抱き上げる。
「降ろせ!自分で歩く!」
「ダメだ。ここでは俺のいう事を聞け…。」
背筋に冷たいものが走った。
戦場で何度か経験をした感覚…。
ここは日本だよな?
怯えて馨にしがみついていた。
「大丈夫だ。俺と居ればいいんだ。」
耳元で馨が囁く。
まるで暗示にかけられているような気がする。
やたらと広い高級マンション…。
窓の向こうにスカイツリーが見える。
タワーマンションって奴か?
馨に抱えられたまま風呂に連れて行かれた。
熱いシャワーがかけられる。
指先の一本一本までを丁寧に馨が洗う。
「何故…?」
聞くだけ無駄な気がして来る。
「悪かったな。ただの漢方薬だが俺用の調合だからお前にはきつかったと思う。」
「馨用…?」
「あぁ…、イカねぇんだ。俺…。」
クスクスと馨が笑う。
「イカない?」
「そうだ。匠みたいに何度もイカねぇんだ。だからバランスを保つ為に飲んでいる漢方薬だ。」
「バランス?」
「たまに抜かないと人を殺したくなるからな。」
冗談っぽく穏やかに笑って言ってはいるが馨の目は笑っていなかった。