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囚われる…
第4章 馨…
朝が近いから今ひとつの夜景…。
何もかもがぼんやりとしていてある意味は幻想的だが頼りない景色…。
これが本当の世界なのかもしれない。
俺の視界には馨だけがそのぼんやりとした世界の中ではっきりと見える。
2時間もすれば、自分で立てるようになった。
馨の言う通りにシャワーを浴びる。
「お前の服…。」
渡された服は安物のボロなのにクリーニングがされている。
「このマンションの前にタクシーを呼んであるから好きな場所で降ろして貰え。」
マンションから出るまでの間、ずっと馨が俺の顔を撫でていた。
不思議な2日間だった。
だからと言って、ずっと馨とだけベッドの中に居る訳にはいかない。
帰れるのなら、とりあえず帰ろう。
どのくらい自分の立場が危険な状況なのか好奇心もあった。
口を閉ざして生きれば命までは取られない国だろ?
まだ馨には好奇心はあった。
それでも馨とは2度と会わない方がいいのかもしれないとも思った。
世界が違う…、いや…、感覚そのものが違う…。
馨は俺を自分のものだと言った。
馨のSEXは有り得ない快感を与えてくれる。
なのに馨には愛が存在しないのだと感じた。
あくまでも自分がイキたいからという理由だけで俺を欲しがっただけだ。
つまり、馨なら俺の代わりをすぐに見つけて俺は不必要な存在になる。
だから俺は口をつぐみ、馨を忘れて今まで通りに生きるだけだと思っていた。
馨が手配をしたタクシーは歌舞伎町で降りた。
楼蘭の側に荷物と車が置きっぱなしだ。
楼蘭がある道を歩くと心臓が止まりそうになった。
道を間違えたか?
そう思わざるを得なかった。