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囚われる…
第5章 許されない逃亡…

愛なんか全く感じない。
むしろ屈辱しか受けていない。
なのになんで馨は俺を選んだんだ…。
「馨…、お願いだ。やめてくれ…。」
「匠にはお仕置きが必要だ。」
Tシャツの上からそそり立つ乳首を甘噛みされる。
反対側はまだソフトに撫でられ続け、羞恥心という奴のせいで、込み上げて来る声を殺すというつまらない常識が頭を支配する。
「あぁ…、可愛い顔をしやがって…。」
馨が嬉しそうに言う。
「馨…、やめて…、怖いんだよ…。」
「飛行機がか?」
「馨がだよ。馨と馨が存在をする世界が怖いんだよ。」
「だから逃げたのか?」
「逃げたかったんじゃない。」
逃げたかった…。
いや…、馨と離れられなくなる自分が怖かった。
馨は俺を愛していない。
だけど俺は馨を求めている。
虜にされていると言っても過言じゃない。
これはある種の愛だ。
愛のない馨に溺れて愛を感じている。
「馨を愛している。」
自分から馨の頭を抱えるようにして馨にキスを求めていた。
「愛?」
「そうだよ。馨がイカないのは愛がなく人を抱くからだ。」
「お前には感じるぞ。」
馨がニヤニヤと笑う。
「ならちゃんと愛してよ。俺をちゃんと見て知って愛してよ。」
「お前の事は全てを知っている。」
そうだ。
全てを知る立場にあるから愛が芽生えない。
だが…。
「俺の心まではわからないだろ?」
「匠の心?」
「俺が馨にどうされたいのかまでは馨にはわからないだろ?だから逃げたくなるんだ…。馨のそばにいるのが辛くて逃げ出したくなるんだよ。」
馨に少しでも人らしい感情を求めていた。

