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囚われる…
第2章 幻の頭
それがこの世界の掟…。
取材はあくまでもこちらから申し込みをしている。
相手には不愉快な質問をしたりもする。
だから何をされても文句は言えない。
さすがに命までは取られない。
そこが戦場とは違うところ。
戦場では問答無用に命が取られる。
「俺に取材をさせて貰えるのですか?」
「内容によるがな?」
「質問は一つです。」
「ならついて来い。」
意外と穏やかな男の後をついて行く。
暴力団の事務所という場所に正面から堂々と入る。
傘下に100以上の組を持つと言われている大組織。
そのトップに取材をする。
だが彼は既に有名人過ぎる。
雑誌には彼の顔写真が毎回載せられるのが当たり前の人物。
今、欲しい情報は彼の跡取りとなる謎の頭の存在だ。
事務所に入り、長い廊下を抜けてある部屋へ案内をされる。
まるで会議室…。
その一番奥には馬鹿デカイ机に立派な革張りの椅子。
会長席…
手前のソファーには3人の男。
残念ながら彼らの顔は知っている。
頭じゃない…
革張りの椅子に座る着物を着た老人…。
日本最大の暴力団組織、義行会のトップである山内会長…。
引退が近いと明らかにわかる存在だからこそ、その跡取りの存在が重要になる。
「聞きたい事とは?」
まさかの会長自らがゆったりとした余裕のある口調で俺に質問をして来た。
「頭の事です。」
俺の答えに優しげだった老人が目つきを変えた。
手前の3人も殺気立つ気配を醸し出す。
「名刺はあるか?」
「はい…。」
低いテーブルの上に自分の名刺を置いた。