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囚われる…
第6章 世界のバランス

「もう…、いいよ…。」
真っ白な通路で立ち止まる。
「匠?」
「もう、いいよ!知りたくない。俺みたいな人間が知るべき世界じゃない!」
「匠?俺の全てを知りたいと言ったろ?」
馨は平然としたまま俺の髪を撫で、顔を撫でて来る。
「大丈夫…、俺が居るから怖くない…。」
そう言って、いつものようにキスをする。
「全てを教えてやる。世界と俺と匠の全てをだ。」
馨に強く肩を抱かれて再び歩き出す。
今回も馬鹿デカイ木の扉…。
世界の秘密が全て詰まった扉…。
その開けてはいけない扉がゆっくりと開いてしまう。
中で待って居たのは日本人ではなくエキゾチックな女達…。
誰もが顔を伏せて馨を奥へと促す。
日本でもそうだった。
女は馨に恐れと敬いを抱く態度で無闇に馨に話しかけたりは一切しない。
日本と全く同じ装飾の店…。
ここがタイの地下だという事実を疑いたくなって来る。
そして店の奥のVIP席へと馨と入る。
全く日本と同じ造りのマジックミラーに囲われた小部屋…。
あの日の夜の事が頭に蘇る。
女が馨にバーボンを用意する。
「匠…、来いよ。」
マジックミラーに張り付いていた俺に馨がソファーを軽く叩いて呼ぶ。
あの夜の再現フィルムを見ている気分だ。
「何を俺に教えたいんだ?」
馨がふっふっと笑った。
「どこから話せば匠に理解が出来るかな?」
なんだか馬鹿にしているようにも聞こえる。
「ここは間違いなく日本じゃないよな?」
「あぁ…、この店は世界中にある。」
「つまり世界中がこの店によって管理されているという事なのか?」
「管理ではない…。この店はあくまでも世界のバランスを保つ為に存在をする店なんだ…。」
世界のバランス?
どういう意味だ?

