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囚われる…
第6章 世界のバランス
「世界のバランスを保つ為に匠が追いかけていた幻の頭をこの店で作り出す。」
確信を馨が口にした。
幻の頭が店のオーナーじゃない…。
この店に選ばれた人間が幻の頭になる。
身体中が震え出す。
今の俺の心境にはお構い無しの馨が俺の服を脱がせて来る。
「つまり…、そもそも頭は存在をしない?」
「いや、世界が必要としている以上、頭は常に存在し続ける。」
それが幻の頭の正体…。
「義行会の山内会長は…。」
「当然、この店の常連だ。立場上、滅多に店には来ないがな…。」
「他の組員は?」
「この店の存在を知るのはトップとそれを継ぐ者だけだ。」
全裸にされていた。
マジックミラーだとわかっていてもガラスの向こうに人が見えていると恥ずかしい部分は隠したいという気持ちでいっぱいになる。
馨が俺をマジックミラーに押し付けるようにして俺の背中から自分の身体を重ねて来る。
乳首と股間の陰部がマジックミラーに当たった。
ひんやりとする。
恥ずかしさで目も開けられないのに感じてしまう。
「匠が幻の頭になるかもしれなかった…。」
馨が俺の耳元で囁いた。
どういう意味だ?
何故、俺が幻の頭に?
愛撫をするように耳を馨が舐め始める。
「お前の取材を山内が気に入ったらしい…。計画ではお前を山内が勧誘をするという形であの世界に入れようという計画だった。」
「どんな…、計画…だ…?」
俺の腰を撫でる馨の手に感じながら、頭の中では恐怖が渦巻いている。
「まずは唯一の肉親を事故で失わせる。仕事は全て失敗をして、お前のマンションの部屋から不審火を出せばお前は全てを失う。」
「!?」
「全てを失った人間って奴は犯罪という闇に落ちやすくなるものだ。自分にはもう何もないのだと開き直るからな。」
背中に馨の唇が触れてリップ音が響いた。