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囚われる…
第7章 忘却の彼方…
そして、それは突然始まった。
街への空爆…。
馨達は教会へ戻ろうとするが教会は街の中心にあり、一番空爆が激しく、子供の馨には近づけない。
人が逃げる波に流されてまだ8歳だった馨は教会に戻れない迷子になっていた。
2日間…、彷徨い歩き、やっと教会を見つけたがそこは瓦礫の山しかなかった。
帰るところを失った馨はその瓦礫に更に2日間ほど居たらしい…。
後でわかった事は馨の母親が馨くらいの子供を抱いて死体で発見をされた為に馨は家族と共に死亡したという扱いになってしまったという事だった。
「それって…。」
「国籍も名前も全て失った幽霊が誕生した日だ。」
俺を愛撫しながら遠い目を馨がする。
俺とは違い戦災孤児になった馨は日本という平和な国に保護すらされなかった…。
「ただ、生きる事に必死だった。」
首筋に馨の舌が這う。
半年後に国連軍がやって来て、やっと馨は保護をされるが国籍も何もない馨…。
本名や親の名前を言っても馨という存在は既に死亡扱いになっている。
8歳の子供に身分証明なんかない。
DNA鑑定をしなければならないが両親は集団火葬で埋葬が終わっている。
馨の立場が宙ぶらりんのままのある日、馨の前に1人の男が現れる。
「私と来なさい。」
その男にそう言われた馨はその男の手を取るしか道がなかった。
「それが、この世界を運営する連中だ。」
乳首へと舌を這わせ勃起をする乳首を弾くように馨の舌先が舐めて来る。
「あんっ…、それで…?」
「あまり、よくは覚えていないがある施設へと連れて行かれたんだ。」
そこには馨と同じように国籍や名前を失った子供が集められていたという施設…。
「多分、外の景色は全て作り物で見えなかったからあの施設も地下にあったんだろうな。」
馨がクスクスと笑った。