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囚われる…
第2章 幻の頭
「取材でなく…、個人的に会長さんに会いに来る事は可能ですか?」
「何故だ?」
「この世界のトップでドンだからですよ?誰だってお近づきになれるチャンスがあればそう言うでしょ?」
「堅気はワシらみたいな人間には近寄るな。」
これ以上をグズグズと粘れば腕を折られて叩き出される危険がある。
「失礼します…。また来ます。」
会長に頭を下げて事務所から出た。
取材は僅か30分ほどだったというのに俺の車にはしっかりと駐車禁止の輪っぱが付けられていた。
会長自らが取材を受けたのはわざとだ。
俺を30分だけ車から引き離す必要があった。
運転手が30分以上、車から離れれば立派な駐車違反になる。
後は善良な近隣住民のフリをして警察に通報をすればいいだけだ。
1回の駐車禁止くらいなら大した事はない。
だがこの張り込みで今のパターンを繰り返せば俺は悪質な駐車違反の常習犯として警察に登録をされる。
つまり、相手は俺の張り込みに対して長期戦を覚悟の上だから、この頭の取材って奴は莫大な経費をかけるか割に合わないと諦めるかしかない。
「まいったね…。」
暴力団というのはやたらと法律に詳しいから、こんなやり方で仕返しをされる。
不愉快な思いをさせた。
ただ、それだけで何倍もの仕返しが返って来る。
とりあえず、今日は手に入れた情報で満足をすべきだと思い地元警察に向かうしかない。
駐車禁止の輪っぱを外し、罰金を払う。
既に経費が嵩んでいる。
馬鹿らしい…。
この取材を止めるか?
そんな気分にさせられる。