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囚われる…
第2章 幻の頭
警察じゃ駐車禁止の輪っぱを外してくれと言うと虫けらを見るような顔をされる。
「駐車禁止指定道路での駐車は違法だと理解をしてますよね?」
罰金を払ってこの場から逃げるまではネチネチと嫌味が続く。
たかが駐車違反…
それでも、あくまでも犯罪者扱い。
てめぇら警察官が犯罪を犯した時は必死に隠蔽をするくせに…。
そんな文句の一つでも言い返したくなる。
「匠?匠じゃないか?」
白髪混じりの中年親父に声をかけられた。
「岩さん?所轄が違うだろ?」
中年親父は岩本巡査長…。
いわゆるマル暴と呼ばれる刑事だ。
暴力団専門刑事…
「奴さんらの本部がここにある以上、対策本部もここに設置されてんだよ。」
その程度の情報なら岩さんは気安く流してくれる古いタイプの刑事だ。
昨今は暴力団の接触も難しい世の中になった。
その分、刑事の口も何かと固くなった。
「匠は駐車違反か?何を追ってんだ?」
「幻の頭だよ。」
笑ってそんな冗談を言う。
「眉唾物だな。」
岩さんも冗談に笑ってくれる。
「だが、存在は確信をしたよ。」
俺のその一言で岩さんが目つきを変えた。
刑事特有の目つき…。
「その根拠は?」
「義行会の山内会長と会った。彼は頭は事務所には来ないと言ったが存在否定はしなかったからな。」
「ほーっ…。」
岩さんが少し考え込む。
幻の頭の情報は警察もかなり欲しがっている情報だとわかる。