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僕の彩芽
第10章 十

「彩芽ちゃん、新人なの?可愛いね」

 入口から大きな螺旋階段を降り、きらびやかなラウンジが広がる。此所、高級クラブ「エル」で、また働く日が来るなんて思わなかった……。海の様に深い青色のドレスを身に纏って、私は一人の男性を接客する。

「そんな、お上手ですね……」

「お世辞じゃないよ。俺は龍生(りゅうせい)。彩芽ちゃん、何歳?」

「もうすぐで二十歳です。龍生さんはおいくつですか?」

「24だよ。まだ19歳なら無理してお酒飲まなくて良いからね」

 龍生さんはグレーのスーツに黒いネクタイ姿で、アッシュ系のブラウン色の髪。いかにも王子様と言われそうな綺麗な顔をしている。凛々しく男らしい秋人さんとは正反対。それに、性格も穏やかそうで、雰囲気が女の子みたいにふんわりしている。……癒されるなぁ。こんなにここ数日で癒されたのは、初めてだ。最近癒される事がなかったせいで、そう思うのかもしれない。

「ありがとうございます……」

 龍生さんの笑顔に安堵しながら、お辞儀した。

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