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僕の彩芽
第10章 十
「龍生さん、ナイスアイディーアですっ!」
ぐっと右手の親指を立てると、私は焼酎を勢い良く飲む。そして、ぷはぁっと息を吐き、グラスをテーブルへ置いた。
「行きましょう、沖縄!めんそーれ!沖縄!びば☆ロック!」
「ふふ、やっぱり可愛いね、彩芽ちゃんって」
「龍生さんは良い人ですね!でも、何でそんな初対面の私に親切にしてくれるんですか?」
隣で頬を緩ませる龍生さんへ、不思議になりながら質問すると、龍生さんは少しの間考えて答え始めた。
「うーん……彩芽ちゃんが可愛いから」
こんな照れずに女の子へ可愛いって言える男は、女慣れしてるモテ男だ。龍生さん、ひょっとしてチャラ男ですか……?
「……というのもあるけど、彩芽ちゃんを助けてあげたい気持ちが強い。本当に、どうする?彩芽ちゃんがその気なら、俺本当に飛行機のチケット手配するよ」
その瞳はまっすぐ私を捉える。
「龍生さん……」
どうしよう。私、逃げたい。ペットなんか嫌だ。けど……
「ありがとうございます……お気持ちだけで嬉しいです」
頭を下げる私の心には、逃げ出す勇気なんてなかった。