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僕の彩芽
第10章 十

「……やっぱり気のせいだ。シャンプーの匂いしかしねぇ」

 漸く耳から唇を離して、秋人さんは話す。良かった……難を逃れた。そうほっと安堵したのも束の間。

「ポチ、耳を舐めると可愛く鳴くな?」

 再び耳への口付けに遭う。

「アッ……」

「興奮する。その声」

 ……言われなくても分かってるよ。だって、また太腿に秋人さんのものが固くなって当たっているから……。

「盛りのついた雌猫みたいだな?」

「うぅ……」

「可愛い、ポチ」

 耳の輪郭を繰り返し吸い上げられたり、舐められて、私は顔から火が出そうだった。

「秋人さん、やめてください……!」

「ああ、そうか、トイレだったな。行くか」

 そう言いながらも、秋人さんは耳孔へ舌を差し込み出す。

「アッ……」

 くねくねと熱い舌で耳孔を舐められて、体から力が抜けた私は、そのままガクッと膝から秋人さんの方へ倒れ込んだ。

「どうした?ポチ。歩けないのか?」

「アッ……アッ……」

 耳元で囁かれる意地悪な声。……ヤバい。意識がぼんやりしてきた。気持ち良い……。

「俺に抱き付いて、そんなに俺から離れられないか?」

「アッ……」

「ポチは俺がいないとダメだな」

 ピチュピチュと響く水音に羞恥心を溢れさせながら、私は秋人さんの体へしがみつく。……耳が弱点なのかもしれない。舐められるだけで、こんな……動けないなんて。


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