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僕の彩芽
第10章 十
「ッ……ン……」
「ポチ、俺もお前がいないとダメだ」
「秋人さん……」
心地良い声に、胸が高鳴った。……完璧これ、私ペットだわ……。御主人様がいないと寂しくて鳴いちゃう様なペットな気分だわ……。秋人さんと暮らしていたせいで、無駄な感情を覚えてしまった。人の温もりの心地良さを。
「ポチ?離れて良いんだぞ?」
「いやです……」
耳から唇を離して、私の答えを聞くとくくっと笑う。
「逆にポチの方が俺にべったりになったな」
「っ……」
恥ずかしい。けど、その通りだ。心地良い温もりを失いたくない。秋人さんから離れたくない――…
「行こう。トイレまで抱っこしてやる」
そのまま、抱え上げられる体。お姫様抱っこ……かと思いきや、普通の抱っこ。子供を抱っこするみたいに、秋人さんの正面で抱っこされて、私は両手で秋人さんの首にしがみついた。
「落とさないでくださいね……!」
「じゃあもっとくっついとけ」
「うぅ……」
この状況を早くどうにかしたい。誰か助けて……。