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僕の彩芽
第10章 十

 自分から言っといてドキドキする……。本当どうしちゃったんだろう、私。秋人さんから離れられないんですけどもぉぉぉ!

「あ、秋人さん……」

「何だ?」

「その……」

 抱き付いたまま、もじもじしながら話し掛けようとして、黙り込んだ。

……くっつきたい。もっとくっつきたいんです!

そうは言えず、チラッと秋人さんの顔を見ると、優しく微笑み掛けられた。

「ポチ?俺とスキンシップが取りたいのか?」

 うぐっ……バレバレか。流石秋人さん。ペットの気持ちは何でもお見通し。それに、誰よりも優しい……

「おいで、ポチ」

「はい……」

 呼ばれると、私は秋人さんの左側で両膝をつき、秋人さんの首に両手を回す。そして――衝動的に秋人さんの頬へ口付けた。

「秋人さん……」

 本当に盛りのついた雌猫みたい。本当に私、ペットになっちゃった。

……そのまま何度も頬へ口付けて、秋人さんの顔へ猫のようにすり寄る。

唐突に、リビングに豪の声が響き渡って、我に返った。

「彩芽ぇぇぇ!てめぇ、秋人さんに何してんだぁぁぁ!」
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