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僕の彩芽
第12章 十二
* * *
「豪……何でさくらさんも行くのかな?」
それから数十分後、秋人さんの車に皆乗って、マンションを出発した。運転席には秋人さん、助手席にはさくらさん、後部座席には私と豪が座った。
豪は不機嫌そうに、私の質問に答える。
「そんなん決まってんだろ。ヤル為だ」
「そんなぁぁぁ!バカ豪!何でそんな事言うの!」
「バカはお前だろ?お前が使い物にならないせいで、さくらが呼ばれたんだから」
「さくらさん、秋人さんが呼んだの……?」
「当たり前だろーが」
豪は昨日フラれて不貞腐れているのもある。よくついてこれたな……勇者だ。私だったら失恋した相手と、一緒に旅行なんて行けない。
寝れていないのか、豪の目の下にはクマ。そして泣き腫らした瞼は、見ている此方が切なくなる。