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僕の彩芽
第12章 十二
本当に秋人さんの事が好きだったんだな。豪……。
それに比べて私は、自分の気持ちが分からなくてふらふらし過ぎだ。昨日龍生さんに返事をしたけど、あれで良かったのか分からない。
あの後龍生さんは嬉しそうに帰って行った。でも、私の心にはやっぱり秋人さんがいて、秋人さんがさくらさんを呼んだって聞いただけで苦しい……。
「温泉、何処行くのかな……」
「さあな……秋人さんの行き付けの旅館じゃねーの?」
「豪は傷心旅行だね……」
「てめぇ、マジ殴るからな!」
そのままどんどん変わっていく車窓からの景色をぼーっと眺めながら、私は温泉に着くまでの間、大人しく車に乗っていた。