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僕の彩芽
第12章 十二
「豪!何で早く言わないんだよ!」
「言ったところでどうすんだよ?使い物にならないお前が、さくらの代わりに出来もしねーくせに」
「うっ……」
冷酷に睨まれると、口ごもる。
豪の言う通りだ……。私には秋人さんを気持ちよく出来ない。さくらさんは風俗嬢だし、絶対エッチも上手。さくらさんは胸も大きくて、容姿も綺麗。私とじゃ、さくらさんの圧勝……。
「でも……」
「ほら、入るぞ。貸切り風呂にも出来んだ、ここの温泉」
「ちょ!ちょっと!豪!あんた、秋人さんからフラれたから何かやけになってない?!」
「は?別にそんなんじゃねーよ。もう秋人さんの事は吹っ切れたし……」
豪から手を握られると、私は慌てながらその手を振りほどこうとする。豪はそんな私へしゅんとして、温泉の方へ歩き出した。
「別に秋人さんとさくらに対抗してねーぞ?ただ二人で入る方が一人で入るより寂しくねーだろ……」
「豪……」
やっぱり寂しいんだ。
豪の言葉に切なくなりながら、私は豪と手を繋いだまま一緒に暖簾を潜った。