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僕の彩芽
第14章 十四
「えぇぇぇ!そうなの?!おめでとう!二人共!すっごくお似合いよ!」
蝶子さんからお祝いされて、私は嬉しくなった。
「……ありがとうございます、蝶子さん……」
「まさか二人が付き合ってたなんて知らなかったわ!知ってたら、お店で働かせなかったのに……!」
「?!ちょ、蝶子さん!」
「あ……あらららら……口がつい滑っちゃったわね……」
つい滑っちゃったわね……じゃない!
口元を片手で押さえる蝶子さんに、私は顔を青ざめた。隣からどす黒いオーラを感じると、怯えてしまったが。
「……彩芽、どういうことだ?」
「秋人さん……これは……」
「また蝶子の店で働いてたのか?」
「それは……」
言い逃れ出来ない!秋人さんが怖すぎて、嘘をつけばどうなるか分からない!
「じゃあ、私、帰るから……」
蝶子さん、逃げた!
「ちょっと!蝶子さん。待って!」
そそくさとリビングから出ていく蝶子さんに手を伸ばしながら引き止めようとしたが、風のごとく蝶子さんは部屋から出ていってしまった。再びリビングには静寂が漂う。