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僕の彩芽
第5章 五
……――六時間後の午後三時。
「じゃ、行ってくる。豪、後のことは頼んどくからな」
「ちぃーっす!秋人さん、いってらっしゃい!」
スーツに身を包んだ秋人さんを、豪が玄関に立ってアホの様に叫びながら見送った。そしてリビングへ戻ってくるや否や、ドアの前に立つ私を冷たく睨み付ける。
「ブス。逃げんなよ。お前が逃げたら俺がぼこぼこにされんだから。分かってんな?」
……分かってねーよ。寧ろ私を逃がして、その憎たらしい顔をぼこぼこにされちまえ!
「分かってます!」
本心とは反対に、礼儀良く返事する自分が情けない。あれから下着と服を豪に買ってきて貰い、黒いニットとチェックのスカートに着替えた。こいつに恩を作るなんて嫌だったけど、仕方ない。
「おい、ところでお前、彩芽だっけ?」
「うん」
「お前さぁ……」
朝食も昼食も、豪の作ったものを食べさせて貰った。豪は料理が得意らしく、私より断然上手だということにショックを受けた。ホモだから女子力高いんだろうか……。
「何?」
此方へ歩み寄ってくる豪を不思議に思いながら聞くと、唐突にニットの胸ぐらを掴まれて目を見開いた。
「お前……ずっとここに住むつもりか?」
「えっ……」
「秋人さんと同棲なんて図々しいんだよ!」
怖い!凄く睨まれてるんですけど!そうか、こいつ秋人さんの事好きだから、私が一緒に住んでるのが羨ましいんだ!
「……そんな事言ったって、風俗じゃ使い物にならないって……」
「俺が使い物になるように修行してやる」
「は……?」
「ベッド使うと秋人さんに殺されるから、ソファ来い」
呆然とする私を置いて、リビングのソファへ歩き出す豪。ソファを見るだけでまださっきの事を思い出して恥ずかしくなる私が修行……?
「恥ずかしいから絶対嫌だ!」
「さっきイッといて何言ってんだ」
「あれはあんたが無理矢理したんでしょ!」
ソファへ座る豪へ、先程の行為を思い出しながら叫んだ。