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僕の彩芽
第9章 九
……――寝室でスーツに着替えると、秋人さんは誰かと電話で話し始めた。仕事に行く前の黒いネクタイを締めた途端に、電話が掛かってきたからだ。
「……何だ?……ダメだ。……この間もダメだと言ったじゃねぇか。……しつこい。ダメって言ったらダメだ……おい!」
電話の相手、誰だろう。秋人さん、不機嫌そう。というか、ぶちギレてる……。
「……仕事の電話ですか?」
「蝶子だ」
「えっ?!蝶子さん?!どうしたんですか?!」
秋人さんの前に棒立ちしたまま質問すると、意外な返事が返ってきて驚いた。
「エルの人員が不足してるから、ポチに働いて欲しいとよ」
「私にですか?!」
「断ったけど、アイツの事だ。多分今からポチを迎えに来る」
「えぇぇぇ!」
人員が不足してるなら助けたいし、私は働いて良いけど……。秋人さんの許しが出るなら。
「……絶対ダメだからな」
「はい……」
ちらりと秋人さんを見ると、目が合う。般若の様なオーラ。これは、絶対無理だな。