この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
僕の彩芽
第9章 九
「ポチ、俺はもう仕事に行かないといけない。蝶子が来たら断れるな?」
「はい……」
「分かってるよな?万が一また働けば、どうなるか……」
「分かっております……!」
秋人さんから睨み付けられて、私の頭にはこの間の車内での事がフラッシュバックする。スカートと下着を脱がされて、一人でやらされた黒歴史。もう二度とあんなことはしたくない……。
「秋人さん、早く行かないと、仕事遅れますよ!」
「まだ大丈夫だ。……本当はポチも連れて行きたいけどな」
唐突に秋人さんから抱き締められる。
「無理ですよ!」
「分かってる。だからこうして別れを惜しんでんだろうが」
「別れを惜しむって……」
……変だよ。やっぱり変だよ。秋人さん。私なんかに、こんな態度取って。
「ちゃんとご飯食べれるか?」
「食べれます……」
「夜トイレ行けるか?」
「行けます……子供じゃないんだから……」
秋人さんから頭に頬擦りされて、げんなりした。
「ポチ、行ってらっしゃいのチューは?」
「チュ……?!げほ!ごほ!」
ホント、何言ってだ、この人!仕事のし過ぎで疲れてるのかな……。
「秋人さん、大丈夫ですか?ちゃんと休まないとダメですよ」
「ポチ……優しいな……俺を心配してくれてるのか?」
繰り返し額へ何度も口付けられると、焦り出す。
「いえ、あの……」
「ポチ、今度の連休旅行に行くか?」
「えっ、旅行ですか?!」
「温泉に行こう」
温泉……。行きたい。けど、秋人さんと二人きり……?