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僕の彩芽
第9章 九
……――そのまま秋人さんが仕事へ行くと、私は寝室からリビングへ向かった。リビングにはスーツ姿の豪が立っていて、明るく笑いながら此方を見た。
「おう!爆睡してたわ!秋人さん、もう仕事行った?」
「うん」
「俺ももう仕事行くから!」
「行ってらっしゃい」
豪には秋人さんからキスされたなんて、口が滑っても言えない。言ったらどうなるか、考えなくても分かる……。八つ裂きじゃ。八つ裂きの刑じゃぁぁぁ!
「……何か彩芽、元気なくない?どうした?」
「えっ?!別になんでもないよ!」
「そうか?顔も赤いし、ぼーっとしてる」
豪は私の方へ歩み寄ってくると、私の額に自分の額をくっつけた。
「豪、何してんの?!」
「熱あるんじゃないかと思って心配してやってんだろ」
……そうか。豪は女の子にこんな事してもどうも思わないから。男に免疫のない私は、ドキドキするっていうのに……。
「熱はないな。一応お粥作っとくか?」
「大丈夫!元気だよ!ほら!ほら!」
豪が私から離れると、私は何度も跳び跳ねてみせた。
「なら、何かあったらLINEしろ。仕事行ってくるな」
「行ってらっしゃ~い」
豪は……きっと母親から売られた私に同情して、優しくしてくれているんだ。良い奴。やっぱり恋を応援したい。
「あ、そうだ、彩芽。秋人さんのチン◯の写メ撮ってくれた?」
「……と、撮るわけねぇだろぉぉぉ!」
玄関の方へ歩き出す豪へ、ニコニコしながら手を振っていた。しかし急に立ち止まり豪が聞いてくると、そのまま叫んだ。
「てめぇ何だよ!さっさと撮れよ!」
「撮れるわけねぇだろ!期待すんな!さっさと行け!」
優しいと思えば……やっぱり関わりたくない。