この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
くすくす姫の誕生日(くすくす姫後日談・その4)
第2章 まだ「お誕生日」の来てない日

「スグリっ!?」
「痛っ…うっかりしちゃった…」
「大丈夫か?悪ぃ、床に置かなきゃ良かったな」
「お尻もだけど、頭もちょっとぶつけちゃった…こぶできるかも」
床に尻餅を付いた姿勢で頭を抑えながら顔を上げ、姫はまた固まりました。
「ひゃああああああ!!」
「どうした!どこか痛いか、」
「違っ…」
姫は頭を押さえたままで、俯いて呻きました。
「当主様がっ…近すぎる…っ!」
「は?何言ってんだ?」
よっぽど頭打ったのか、と言われましたが、姫は首を振ろ…うとして頭を押さえて一旦止めて、代わりに手を振り、その手でサクナを指差しました。
「その格好っ…がっ…当主様っぽい…」
「あ?」
姫の言葉で自分の格好を見たサクナは、がっくり肩を落としました。
「…あー…俺も、うっかりした…」
「なんで?」
「誕生日に着ようと思ってたんだよ」
「え?」
「荷物に入れっぱなしだったから、試しに着てみたんだが…見られちまったな」
サクナは姫に見られた事を、それほど気にしていないようで、もう誕生日みたいなもんだからまあ良いか、と言いました。
「それ…すごくっ…すごく似合ってる…ものすごく、格好いい…」
「そうか?」
姫はまだサクナを直視出来ない様で、胸のあたりを見ながら言いました。
サクナは姫の後ろ頭にこぶが出来ていないかが気になる様で、頭を触ってみていた為に、姫の賛辞には生返事を返しました。
こうして近くで見てみると、サクナの着ている服がとても手の込んだ作りであることが、スグリ姫にも分かりました。手の込み具合から盛装だろうという事は分かるのですが、近寄り難さは感じられず、自然と惹きつけられるような、不思議な魅力がありました。
「…今の所、こぶにはなって無ぇみてえだな」
「ありがと……これ、織りじゃないのね。刺繍?」
ほっとした様子のサクナには、今度は姫の言葉がきちんと届いた様でした。
「ああ。ここまで細けぇのは、今では珍しいかもな。先代のなんだが、先代もそのまた先代から譲られたって言ってたから…結構な年代物だ」
「ふーん…」
その割には、古びた感じは全くありません。
長年きちんと手入れをされていたのでしょう。
「大事に着られてた物なのね。…すごーい、これ、全部刺繍…」
この地の女性の盛装は、レースやリボン、布に寄せた襞などで彩りますが、南の地の盛装は、刺繍で彩るもののようでした。
「痛っ…うっかりしちゃった…」
「大丈夫か?悪ぃ、床に置かなきゃ良かったな」
「お尻もだけど、頭もちょっとぶつけちゃった…こぶできるかも」
床に尻餅を付いた姿勢で頭を抑えながら顔を上げ、姫はまた固まりました。
「ひゃああああああ!!」
「どうした!どこか痛いか、」
「違っ…」
姫は頭を押さえたままで、俯いて呻きました。
「当主様がっ…近すぎる…っ!」
「は?何言ってんだ?」
よっぽど頭打ったのか、と言われましたが、姫は首を振ろ…うとして頭を押さえて一旦止めて、代わりに手を振り、その手でサクナを指差しました。
「その格好っ…がっ…当主様っぽい…」
「あ?」
姫の言葉で自分の格好を見たサクナは、がっくり肩を落としました。
「…あー…俺も、うっかりした…」
「なんで?」
「誕生日に着ようと思ってたんだよ」
「え?」
「荷物に入れっぱなしだったから、試しに着てみたんだが…見られちまったな」
サクナは姫に見られた事を、それほど気にしていないようで、もう誕生日みたいなもんだからまあ良いか、と言いました。
「それ…すごくっ…すごく似合ってる…ものすごく、格好いい…」
「そうか?」
姫はまだサクナを直視出来ない様で、胸のあたりを見ながら言いました。
サクナは姫の後ろ頭にこぶが出来ていないかが気になる様で、頭を触ってみていた為に、姫の賛辞には生返事を返しました。
こうして近くで見てみると、サクナの着ている服がとても手の込んだ作りであることが、スグリ姫にも分かりました。手の込み具合から盛装だろうという事は分かるのですが、近寄り難さは感じられず、自然と惹きつけられるような、不思議な魅力がありました。
「…今の所、こぶにはなって無ぇみてえだな」
「ありがと……これ、織りじゃないのね。刺繍?」
ほっとした様子のサクナには、今度は姫の言葉がきちんと届いた様でした。
「ああ。ここまで細けぇのは、今では珍しいかもな。先代のなんだが、先代もそのまた先代から譲られたって言ってたから…結構な年代物だ」
「ふーん…」
その割には、古びた感じは全くありません。
長年きちんと手入れをされていたのでしょう。
「大事に着られてた物なのね。…すごーい、これ、全部刺繍…」
この地の女性の盛装は、レースやリボン、布に寄せた襞などで彩りますが、南の地の盛装は、刺繍で彩るもののようでした。

