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くすくす姫の誕生日(くすくす姫後日談・その4)
第1章 熱の明くる日

「ばかばかだめっ、熱あるでしょっ!」
「無え。」
「うそっ!」
「分かった。測ってみろ。」
「はかるぅ?!」
意外な提案に、姫は眉をひそめました。
「ああ。測ったら一発だろ、ほら」
「え、どうやってはか…っんんんー!!」
測れと言われて油断した隙に唇を塞がれ、姫はじたばた暴れて抵抗しました。
が、所詮は、無駄な抵抗というもの。
じっくり熱を測っている間に、姫はふにゃんとすっかりおとなしく力が抜けて、離れる頃にはサクナのシャツに縋っておりました。
「どうだ?熱かったか?」
「…口の中は……熱くない…けど、なんか、あっつい…」
もう秋も終わりだというのに、ぐったりした体が、変に熱くてぞわぞわします。
姫はぞわぞわを落ち着かせようと、縋っていたシャツから手を離し、シャツの主にぎゅっと抱き付き直しました。
「そうか、熱いか。なら好都合だな、これ脱いどけ」
そう言うとサクナは抱き付いている姫を寝台に運んで並んで腰掛け、さっきの続きと言わんばかりに、ボタンを外し始めました。
「ちょ…やぁん!」
スグリ姫は、くたんと凭れてされるがままになっていましたが、今朝のバンシルとのやり取りを思い出し、慌ててサクナを止めました。
「だめ、だめだめっ!またなんか付ける気でしょ!」
姫は、着れる服がなくなっちゃう、と言いましたが、サクナは首を振りました。
「心配すんな、ここにはもう付けねぇよ。…だが、こいつに用がある」
そう言うとサクナは、スグリ姫のむき出しになった白い肩に刻まれた、自分が付けた歯形に囲まれ自分が付けた鬱血痕の横にある、虫刺され痕を指で撫でました。
「…これ、いつ刺されたって?」
「え?えーと…しばらく前にバンシルんちで、お兄さんに木工を教えてもらってる時よ。木屑が散るから外でやってたら、虫が居たの。」
「…で、その後どうしたって?」
「えーと、毒虫だったから、念のため毒を吸って出しておこうって言われて、」
「…兄貴がか。」「ベラが。」
「「…はぁ?!」」
サクナとスグリ姫は、お互いが同時に口にしたお互いの台詞を聞いて、驚きのあまり、目をまん丸くしました。

