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イかせ屋…
第10章 真実
キスが離れると昌さんがシガリロを灰皿に押し潰して消す。
「嫌いか?」
「だって…。」
その香りがするたびに昌さんを忘れる事なんか不可能だと感じる。
「禁煙かよ…。」
なんか…、違う事を昌さんが悩み出す。
「いや、そうじゃなくて…。」
禁煙をして欲しい訳じゃありません。
「梓はこの匂いが嫌なんだろ?だったら禁煙って事にならないか?」
ふてくされて子供みたいな顔をする。
笑っちゃう。
「なんで私の為に禁煙をするの?」
「梓が好きだから、梓は風俗の男なんか嫌だろうし我慢なんか出来ないだろうけど、それでも俺は梓が好きなんだ。」
私の顔を撫でて私を真っ直ぐに見てそう言ってくれる。
涙が出た。
イかせ屋じゃない昌さんの言葉だと感じる。
「だったら、風俗は辞められないの?」
「それだけは無理だから聞いてやれない。だから梓が俺以外の男を選んで付き合っても、それは仕方がないと思う。」
そうやって、優しく私を突き放そうとする。
「それでも…、昌さんがいいって言ったら?」
涙が止まらない。
「俺はイかせ屋は辞めない。それでも梓がいいなら梓だけは本気で抱いてやる。」
私の涙を指で拭い続ける昌さん。
悔しいくらいにこの人が好き。
悲しいくらいに溺れてる。
イかせ屋として他の人をイかせ続ける人だけど、本命は私だけだと言ってくれる。
「抱いて…。本気の昌さんに抱かれたい。」
「梓…。」
顔中にキスが始まった。
耳にもキス…。
「梓だけを愛してる。」
そんな囁きが聞こえると全身が悦んで昌さんを受け入れようとしてしまう。
「昌さんが好きなの…。どうしようもないくらいに好きなの…。」
彼の手とキスを感じながら自分の思いを伝える。