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イかせ屋…
第3章 AV



曽我さんの向かい側にもう1人分の席があるから、そこに座る。

すぐに怖い顔の男の人が2人分の朝食を運んで来る。


「食べろ。しっかりと食べる事も今の梓には必要な事だ。」


曽我さんにそう言われると素直に聞いてしまう。

旅館並みに立派な和食の朝食。

焼き魚に卵焼き、白いご飯にお味噌…。

食べきれないほどの立派な朝食。

朝ご飯をしっかりと食べるとか何年ぶりかしら?

雄君が朝方に寝るから朝ご飯の必要がなかった。

だから、会社に向かう途中で栄養ゼリーをコンビニで買う生活が続いた。


「美味しい…。」

「そうか…。なら良かった。」


静かで落ち着いた朝ご飯に満足をする。

インスタントじゃないコーヒーが出されてから曽我さんが厳しい顔に変わる。


「残念ながら梓には時間がない。」

「はい…。」

「支払い期限は昨日だった。当然今日は遅延損害の金利が発生をしてる。」

「はい…。」


段々と悲しくなって来る。

金利とか言われても貯金すら満足に持ってない。


「俺が梓を庇ってやれるのも今日までだ。梓があの仕事の承諾を出来ないのなら他の取り立て屋が梓の担当になる。」

「その場合は?」

「まぁ、ポピュラーなのは風俗店の勤務か?」


優しい声なのに怖い事を言う。


「AVは絶対に顔は撮さない?」

「ああ…。」

「相手の男の人は?」

「梓は誰がいい?たまに彼氏に頼む女の子も居るから、その辺りの希望は聞いてやる。」

「曽我さんがいいです。」


曽我さんが微笑んだ。


「大丈夫…、嫌な思いはさせない。」


優しくそう言ってくれるから怖さは薄らぐ。

少しの間の辛抱よ。

股間を見せてイクだけ…。

しかも、イかせてくれるのは曽我さんなのよ…。

怖くなんかないわ。

サバサバと割り切ってそう自分に言い聞かせた。



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