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イかせ屋…
第4章 ルール



「ラーメンが好きですか?」

「そうだな。大人になるまで食べた事がなかったからな。」

「ラーメンをですか?」

「そうだ。」

「何故?」

「梓は質問ばかりだな?」


昌さんが笑う。


「今の私は昌さんに恋人の気持ちを持たないといけないんですよね?だったら昌さんの事を色々と知らないと無理ですよ。」


それらしい言い訳をしちゃう。

本当はただ彼の事を知りたくて堪らないという好奇心を止められないだけ…。

私は優しいだけの彼しか知らない。

でも、他の人には厳しい人。

だから彼を知りたくなる。


「まずは何を知りたい?」


優しい声でそう言ってくれる。


「昌さんの家の事とか?初めて行った時に私が怯えると言ってましたよね?何故、私が怯えるのです?」

「ヤクザだからだ。」


それって、いわゆる暴力団って言われる立場で危ないお薬を売ったりをする組織?

ちょっと不安になる。

でも、昌さんがそんな犯罪に関わる人にも見えない。


「うちみたいなのは一本ドッコイっていうんだ。かなりの老舗でね。古くは江戸からの家業だ。」

「そんな時代から?」

「旅芸人の興行の面倒をみたり、祭りなどの屋台の手配をしたり、そういう古くからのやり方を貫いて来た一族だから、今の時代のヤクザとは少し違う。」

「違うのですか?」

「どこの組織にも所属はしない。うちはうちだけの古いやり方を貫く一本ドッコイというヤクザ。梓には理解が難しいよな…。」


普通に言われるヤクザとは違うというだけは理解が出来る。


「今も、やっぱりヤクザですか?」

「今は、一応、芸能プロダクションという会社経営の形でやり方を変えたが、ヤクザには変わりがない。」

「芸能プロダクション?」

「そうだ。そのせいで岡部の債権を出す羽目になった。」


ますます、話がわからなくなって来る。



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