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イかせ屋…
第5章 キス



「イかせ屋は1000年以上も前からある立派な仕事だ。風俗の元祖って立場なんだよ。」


チャラチャラしてるヒロ君が真面目に答えるとちょっとだけかっこいいとか思えるから不思議。


「1000年?風俗の元祖?」

「俺、元々ホストクラブでそこそこ稼げるホストだったんだ。だけどあるお客様に昌さんのイかせ屋に比べたらホストなんか玩具程度の遊びだって言われた。」


イかせ屋の話が信じられないヒロ君はそのお客様に頼んで昌さんの仕事を見せて貰ったらしい。


「そりゃホストに比べたら生々しいとは思ったさ。だけど、昌さんはすげーよ。昌さんを1時間だけ独占したいって本気になる女はその1時間に2千万を出すって言うんだ。」


イかせ屋の時給って2千万!?

私の借金が1時間で終わるの!?


「イかせ屋の事を教えてよ。」

「昌さんの受け売りしか俺は知らねぇよ。」


ヒロ君がわかる範囲で色々と教えてくれる。




1000年以上も昔々…。

その頃の女は外に出る事を許されず、恋人や夫が女のところに通うのを待つだけの身だった。

当然、男は財力さえあれば色々な女の人とやり放題…。

源氏物語の光様みたいな状況ですね?

そんな男を出来るだけ通わせるには、デートなどない時代だから女は身体で男を繋ぎ止めるしかなかった。

男と身体を重ねるのに…、マグロで退屈な女はすぐに捨てられてしまう。

男をその気にさせて男の為の身体になる。

そこに現れたのがイかせ屋という職業の男。

言葉と手だけで女をその気にさせてしまう。

ギリギリで寸止めをして女が自分の夫や恋人を激しく求めてしまうくらいにするなんて、イかせ屋にかかればお手の物…。



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