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3年目のプロポーズ
第1章 3年目のプロポーズ
「確かに最初のきっかけは……君が妹によく似ていたからだ。でも……」
優馬は、ぐっと身を寄せてきた。彼の真剣な顔が、視界いっぱいに広がった。
「今は、美樹自身のことしか……頭にない。これは本当だ。……信じてほしい」
“君が一緒にいない人生なんて……っ、死んだほうがましだ”
“美樹が男の人と話しているだけで、僕は気がおかしくなりそうなんだ”
“それぐらい僕が美樹のこと、好きなんだって覚えておいてね?”
自分は────こんなにも真剣に愛されていたのに、それを全部、劣等感で跳ね除けようとしていた。
……本当に、馬鹿だ、私。
「……そういう姿、もっと見せてくれたらよかったのに」
「え?」
「いつも、私ばっかりダメダメで……」
そこまで言って、美樹は途端に詰まった。
ついさっき別れたいと言い出しておいて、今更何を────。
「っ、」
「美樹?」
美樹は、ぎゅっと目を瞑った。
……あぁ、もういい! 全てさらけ出してしまえ。
「私……優馬が羨ましかったの。いつもスマートで何でも完璧にこなして……私は、いつも劣等感をひきずってて、正直、優馬の隣にいるのが辛かった」
「美樹……」
「だから、見せて」
「え?」
「優馬の隠してること、全部見せて」
美樹は優馬に抱きついた。
「っ、完璧じゃなくていいの。私は、どんな優馬でも、好きだよ。ぜんぶの優馬を、大切にしたい」
「美樹……ほんとうに?」
耳元で、優馬のやさしい声が聞こえる。
「ほんとうに────どんな僕でも愛してくれるの?」
「……うん。見せて? 優馬が今まで隠してきたこと、全部」
みっともないところも、だらしないところも、全部、愛したい。
「ほんとう? じゃあ、別れるのは────」
美樹は即座に頭を振った。
「全部なし。ごめんなさい、私が悪かった」
優馬はがくっと身体を落とした。
「はー……よかった……」