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3年目のプロポーズ
第1章 3年目のプロポーズ
「いつも、美樹の前では格好つけてた」
十五分後、ようやく落ち着きを取り戻した優馬は静かに話し始めた。
「美樹にとって、完璧な恋人でいたかったんだ」
“優馬は完璧だね”
確かに、美樹はよくそんな言葉を口にしていた。でもそれは、自分の魅力の低さが露呈するのがいやで、逆に彼を持ち上げていたからだ。
「美樹に、“こんな人だと思わなかった”ってがっかりされたくなくて、できる限り努めたよ」
でもさ────と言い、優馬は自分の髪をぐしゃっと掻きむしった。
「さっきも言っただろう? 美樹が男の人と話しているだけで、僕は気がおかしくなりそうなんだ」
「……」
「僕は、君の思っているような人間じゃない」
吐き捨てるように言う彼────こんな表情も、初めて見た。
「僕は、こんなに欲にまみれた泥臭い人間なんだよ。分かる?」