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3年目のプロポーズ
第1章 3年目のプロポーズ
眼下に広がる、閑静な住宅街。ここからだと、自分の家の広い庭がよく見える。
「……」
優馬は浮かない表情で庭の一角を見つめていた。
あの土の下には────彼の妹が眠っている。
4年前に、優馬が殺したのだった。
「あの女は……僕を受け入れてくれなかった」
優馬は、吐き出すように呟いた。
────お兄ちゃん、何言ってるの!?
────わたしたち、血の繋がった兄妹だよ!?
────私のことが好き、だなんて、頭おかしいよ!
「でも君は違う……!」
優馬は突如花が咲いたように表情を明るくし、腕の中にいる彼女に顔を近付けた。
「“どんな僕でも愛してくれる”……そう言ってくれて嬉しかったよ」
うっとりと語りかけ、優馬は彼女の胸に顔をうずめた。
「君に出会えて、僕は死んでもいいぐらいの幸福を手に入れたんだ」