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SOS
第1章 邂逅と訣別
これは本当に現実なのだろうか────木崎は未だに分からなかった。
余命宣告を突きつけられ、絶望する自分の目の前に突然現れた悪魔────まるでフィクションだ。
「お前の望むことならば何でも────俺は叶えてやる」
その台詞だけ切り取れば、どこぞの天使かと疑ってしまう。
「……っ」
木崎はぎゅっと目を瞑った。
天使でも、悪魔でも、もう、どうでもいい────
例えこれが幻だとしても、それでも木崎はすがりたかった。それほどまでに彼の写真に対する思いは強かった。
「お願い、します────」
「……」
「俺の願いを、叶えください」
了承の意を得たその瞬間────
バサリと音を立て、天井に届きそうなほどの大きな翼が悪魔の背中から現れた。
真っ黒な翼の欠片が、部屋中に舞い、墜ちてゆく。
「契約成立だ」