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愛しき俺の半身
第3章 妹だから…?
むしろ、嫌いなタイプの女だ。
去年の夏、街で大きな花火大会があった。
クラス全員で行こうと盛り上がったが俺だけが星桜と行くからと断った。
花火大会には星桜に浴衣を着せて連れて行った。
花火が終わり帰ろうとした時に木村達クラスメイトに出会った。
「藤沢君、彼女?」
「いや、妹。」
「なぁんだ、妹さん。なら今から二次会のカラオケに行くから藤沢君も行こうよ。」
「いや、帰る。妹が疲れてるから。」
「えー!?妹さんでしょ?1人で帰れるわよ。」
あくまでも妹だから放ったらかしても大丈夫だろうという扱いを俺の星桜に向かって初対面のくせに言った女が木村だ。
俺はそのまま木村達を無視して帰った。
星桜はその事を気にして、その夏休みは外に出掛ける事を嫌がるようになった。
「星耶だけ…、お友達と遊んで来てよ。」
泣きそうな顔で星桜がそう言うから、絶対に星桜無しでは遊びに行かないと決めた。
一応、怜太だけは星桜と遊びに行く。
そういう時は杏果も誘う。
そして怜太は俺をシスコンと呼ぶ。
有り得ないくらいに俺が星桜に過保護だといつも怜太が笑う。
杏果だけが理解をしてくれる。
杏果は好きだ。
星桜が居なければ多分、杏果と付き合っていてもおかしくはない。
杏果は穏やかで優しい女だ。
なのに俺は星桜以上に杏果を愛せない。
杏果もそれをわかっている。
女子高だと彼氏とかが欲しくないかとか冗談で俺が杏果に言った時だった。
「時々、星桜が羨ましい。」
杏果が寂しい笑顔で俺に言う。
「ごめん…。」
それだけを杏果に言って2度と杏果とはそういう話をしなくなった。
初めて杏果の気持ちに気付いた。
杏果は星桜の為に自分は身を引くと決めた強くて穏やかで優しい女だった。