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愛しき俺の半身
第4章 迷惑な女の子
星桜が他の男の腕の中にいる。
それだけで全身の血が沸騰をしたようにカッと熱くなる。
「大丈夫?痛くなかった。」
再び電車が走り出す中で怜太が星桜に聞いている。
「ありがとう…。」
のんびりと星桜が怜太に答える。
「星桜!」
少し不機嫌に言ってしまう。
星桜が慌てたように俺にしがみつく。
「ちゃんと掴まってろって言ったろ?」
「ごめんなさい…。」
星桜が小さく身体を縮める。
「お兄ちゃん、星桜ちゃんが無事だったんだからイライラとしてやるなよ。」
怜太が笑って俺にじゃれて来る。
「わかってる。」
そうは言っても星桜を抱きしめる手に星桜が顔を歪めるくらいに力が入っていた。
大学のある駅に着いた。
電車が混んでいたのは学祭の為だと理解をする。
かなりの人が電車を降りる。
少しだけ星桜の為に駅のホームで立ち止まる。
怜太も杏果もそれをわかっている。
星桜がモタモタと改札を抜けると周りに迷惑がかかるからだ。
下手をすれば切符を入れて星桜が改札を抜ける前に次の人が切符を入れるから星桜が抜ける前にゲートが閉じるという騒ぎになる事もある。
その為に出来るだけ最後の客になって改札に向かう。
俺と怜太が先に改札を抜けて杏果が星桜の後ろに回り込む。
星桜がゆっくりと改札を抜ける為にいつもそんな感じになってしまう。
「やばいね、星桜ちゃん…。星耶がムキになって守ってやりたくなる気持ちがわかる。」
モタモタと改札を抜けようとしている星桜を見ながら怜太が目を細めて、そんな事を言う。
星桜には手を出すな。
喉までその言葉が出かかって、無理矢理にその言葉を飲み込むしかない。
俺はあくまでも星桜の兄だから…。