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愛しき俺の半身
第6章 幸せの頂点

「星耶!」
俺だけを求める星桜を愛おしいと思う。
「俺が居る。星桜には俺だけが居ればいいんだ。」
自分と星桜に言い聞かせる。
星桜が俺の言葉に落ち着くと再び眠った。
朝、目を覚ますと星桜がベッドに居なかった。
しまった!
焦って部屋中で星桜を探す。
まだ夜明け前…。
リビングのベランダの窓が開いている。
星桜がまた自分を傷つけようとしているのかと恐怖に身体が震えた。
「星桜!」
慌ててベランダに飛び出した。
「星耶…。」
俺の不安を他所に星桜が笑っていた。
「星桜?」
「ねぇ、見て…。星耶…。」
朝靄でボヤけた景色を星桜が真っ直ぐに腕を伸ばして指を差す。
「星桜?」
「見えそうで見えないの…。いつも周りが早く動くから私には全ての景色が見えそうで見えないの…。」
ゆっくりと星桜が自分の感じるもの、見えるものを俺に伝えようとしている。
「でもね、星耶だけは違うの。いつも星耶だけはしっかりと見えるの…。だから星耶の全てを私に感じさせて欲しい…。」
ふわりと星桜が俺の腕の中に入って来た。
「星桜?」
狼狽えて、それしか言えない。
クスクスと星桜が笑う。
「抱いて…、星耶…。」
俺の首に腕を回して星桜がキスを求めて来る。
「星耶だけを感じたいの…、あんな事を2度と思い出さないくらいに星耶が抱いて…。」
感覚の上書きを星桜が求めている。
それが出来るのは俺だけなんだと星桜が言っている。
「星桜…、愛してる。」
朝靄が晴れて景色がはっきりとし始める中で星桜にキスをした。
儚く美しい俺の星桜…。
愛しき俺の半身…。
2度と星桜が嫌な感覚を思い出さないくらいに俺の愛情だけを星桜に刻み込む。

