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愛しき俺の半身
第2章 星桜という女



食器棚から星桜専用のグラスを出す。

このグラスだけは星桜のお気に入りで鈍臭い星桜が丁寧に使うからジュースを零したりグラスを割ったりする心配がない。

俺が修学旅行の土産に買ってやったグラス…。

見学をしたガラス工房で買ったピンク色に桜の模様が入ったグラス…。

星桜の名前に桜が入っているから買ってやっただけのグラス…。

そのグラスにジュースを入れて星桜の前に置いてやる。

星桜はモタモタとエッグタルトを食べ続ける。

その間に俺はやる事がある。

星桜が脱ぎ散らかした制服を片付けて星桜の学校の鞄を開ける。

体操服などを洗濯の汚れを入れる籠に入れて星桜の弁当箱を出す。

弁当は半分しか食べていない…。

食べない訳じゃない。

モタモタとする星桜には昼休みの時間が足りなくて食べきれないというのが毎日だ。

出来るだけ小さくして星桜が1口で食べれるようにしてやっていても星桜はなかなか飲み込めずに時間が無くなってしまう。


「星桜、今日は宿題は?」

「英語のプリント…。間に合わなかった…。」


泣きそうな声で答える。

頭は悪くない。

それでも、ゆっくりとしか文字が書けない星桜は授業中のプリントが授業時間に終わらずにいつも宿題という形で持って帰って来る羽目になる。


「タルト食ったら宿題をしろ。その間に買い物を済ませて来るから…。」

「うん…。」


俺と離れる事を不安がる星桜…。

生まれた時から…、いや、生まれる前から一緒にいる。

今は俺が居ないと生きていけない星桜だから、シスコンと言われようがなんだろうが俺は出来るだけ星桜のそばに居る。


「すぐに帰るから…。」


星桜の頬にキスをしてやる。

まつ毛の長い大きな目を細めて嬉しそうな顔をする星桜が俺は可愛くて仕方がない。



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