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アゲマン!
第10章 幸せの謎



温かいと感じながら沙那が目を覚ます。

ソファーに寝そべる龍平に抱きかかえられるようにして沙那は眠っていた。

沙那が動くと沙那に掛けられていた毛布がズレる。


「寒いから動くな…。」


目を閉じたままの龍平が言う。

てっきり眠っているのだと思った。


「ねぇ…、私との…、いいえ、母さんとの契約はいつまでなの?」


龍平がいくら沙那を自分の女だと言ったところで、仕事の上では沙那はターゲットとして接する事になる。


「お前が大学を出るまでだ。」


まだ、眠そうな龍平が答える。


「なら…。」


契約の解除を…。

沙那がそう望もうとすると龍平が強引に沙那にキスをして口を塞いでしまう。

迂闊な事は沙那には言わせない。


「明日、お前が知りたい事の全てを教えてやる。」


龍平はそれだけを言うと再び眠った。

自分に掛けられた毛布を龍平に掛けると沙那はシャワーを浴びる為に風呂に向かう。

明日、全てがわかる…。

全てを知ってから、その先を決めろと龍平が言う。

沙那は大人しく龍平に従おうと決心をする。

熱いシャワーで気を引き締めると沙那はいつもの気丈な沙那へと戻ろうとする。

この先を龍平と居る為には、ただ龍平に甘えるだけの可愛いだけの女ではいけないのだともう沙那は知っているからだ。

眠る龍平をそのままにして、着替えを済ませた沙那は台所に立つ。

龍平は肉食…。

今夜はクリスマス・イヴ…。

さすがにターキーは無理だったがチキンなら丸ごとのものが手に入った。

そのチキンの中にハーブや味付けをした野菜の詰め物をしてオーブンで焼く。

やり方は全てリンから教わった。

リンは沙那にとって母親的存在になっていた。



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