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アゲマン!
第2章 追加される謎



水商売とはいえ、商売は商売である。

そんな簡単に行くのだろうか?

それに母親はなんのつもりでこんな店を沙那に遺したのだろうか?

沙那はその不安を隠せないまま、新しい週を迎える事となった。





「暇すぎる…。」


金曜の夜に美春がそう言った。


「そりゃ…、そうよね…。」


沙那も美春に同意する。

『Locate』という名のこの店がオープンをしたという事実は沙那と美春しか知らない事実だ。

しかも、店の場所はビルの5階…。

そんな店の存在を誰も知らないのだから簡単に客などが入る訳がない。

ただ2人はひたすら狭い店でジュースを飲んだりお菓子を食べたりしながら営業時間という時間を潰す。

初日はまだ、どんなお客が来るかとか話題に尽きる事なく楽しめた。

しかし、5日目の今夜になると閑古鳥が鳴く店などただの窮屈な監獄のように感じてしまう。

自分達がお嬢様で世間知らずな事はすっかりと棚に上げて、その退屈への文句の矛先は沙那の母親への文句へと変わる。


「大体、おば様の遺言がややこし過ぎるのよ。」

「だから、母さんの謎解きなんかに付き合ってたら、こっちが疲れるだけなんだって…。」

「普通はもっとわかりやすい謎を残すわよね。」

「そうそう、母さんがおかしいのよ。」


謎を残すのに普通があるのかという常識すら失くすほどに退屈を2人が極めた頃だった。

オープンをして初めてこの店の扉が沙那達以外の手で開かれた。


「…!?」

「っん…!?」


沙那と美春が同時に目を見開く。

沙那と美春の驚愕の顔に扉を開けた人物も驚愕をする羽目になる。

一般的なスナックなどの飲み屋を想定してこの店に入って来た客だとすれば、皆が驚愕をする事になるだろう…。



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